「鳥山明先生にはタミヤも大変お世話になりました」
そんな言葉とともにX(旧Twitter)を更新したのは「ミニ四駆」やプラモデルで知られるホビーメーカー大手「タミヤ」(静岡市)です。
3月1日に亡くなった漫画家・鳥山明さんに関して、若かりし日のインタビュー記事やエッセイ、造形作品などを公式アカウント(@tamiyainc)に連続投稿して振り返りました。
これにはファンから2万件以上の「いいね」がついたほか、「うれしい」「若い……」「懐かしい」などといった反応が寄せられています。

「無駄な飾りとか、わざと作られた美しさがまったく感じられないんですよね」鳥山さんが語っていたミリタリーの魅力
タミヤ公式アカウントがまず投稿したのは、模型ファン向けの小冊子『タミヤニュース』147号(1984年1月号)に掲載された貴重なインタビュー記事です。
「ミリタリーが大好きなんですよ、とにかく...」と語り始めたのは『Dr.スランプ』連載中の当時28歳の鳥山さん。
自作のドイツ20mm機関砲などのプラモデルを手にしながらタミヤの取材に以下のように答えました。
「もちろん、スケールモデル党ですからオートバイやスポーツカーも好んで作りますけど、やっぱりミリタリーですね。無駄な飾りとか、わざと作られた美しさがまったく感じられないんですよね」
「結局、人間が能力の限界とされるぎりぎりの時点で使用するものですから、そのために“必要とされた形”という所が実にリアルなんですね」
「確かに兵器ですけれども、別に戦争でどんな役目をするか? なんてことは本当に考えもしませんよ。スポーツカーを見て、“カッコイイ!”と言うことと同じ様にメカニカルな一つの車輛として見るんです」
「単にそれらの車輛を戦争ばかりに結びつけてしまう傾向があるようですが、残念ですね。スポーツカーだって人を傷つける時があるわけですから」
鳥山さんは、ミリタリーのプラモデルに惹かれる理由を熱っぽく語っていました。若かりし頃の鳥山さんの写真も掲載されています。
「自己満足できれば大成功!」人形改造コンテストで入賞した際のうれしげなコメント
続く投稿では、タミヤニュースの183号(1986年8月臨時増刊号)と188号(1986年12月臨時増刊号)に掲載した鳥山明さんによるエッセイを紹介。
ミリタリー系プラモデルの情勢について語っているほか、初めて本物の戦車を操縦したときの感想など、鳥山明さんらしい節の効いた内容になっています。
そして最後の投稿では、タミヤの兵士人形を改造する「タミヤ人形改造コンテスト」で鳥山明さんが金賞を受賞したエピソードを紹介。
受賞作「ハイヨー!シルバー!」は、バイクをウィリーさせる躍動感あふれる兵士の姿を作ったもの。鳥山さんの入賞コメントも掲載されています。
「仕事のあい間をぬってチョコチョコやってたわりには10日ほどで完成させることができました」
「自己満足できれば大成功!趣味なんですからなるべく気楽にやりたいもんです」
当時すでに代表作『ドラゴンボール』の連載中だった鳥山さん。激務の合間を縫ってフィギュアを改造してタミヤのコンテストに応募するとは、心から模型が大好きだったことが伝わってきます