能登地震で店は全壊、一度は廃業を考えるも…「こんな楽しいことをやめられるわけがない」瓦礫の上で再建を決意した、ある酒蔵の“良い笑顔”に13万いいね

    瓦礫の中から無傷で出てきた看板とともに、櫻田さんの笑顔が希望を感じさせます。

    2024年1月1日に石川県能登半島地域を襲った、令和6年能登半島地震。

    多くの建物が倒壊し仕事を失う人も多い中、瓦礫の上でお店の再建を決意した、ある酒蔵の社長が「良い顔してる」と話題になっています。

    X(旧Twitter)に投稿された写真には、「応援してます!」「いい表情の写真!」といったコメントとともに、13万件もの「いいね」が送られました。

    瓦礫の上に立つ男性に「良い笑顔してる」

    ほしたろうさんのXより / Via Twitter: @SAKETUBER

    Xに写真を投稿したのは、能登の酒蔵に9年間勤めた後、2023年にイタリアで酒造業を起業し、現在は日本酒文化を広めていると語るほしたろう(@SAKETUBER)さん。

    「能登地震で全壊した櫻田酒造さんが復活を決意!」「良い顔してる。感謝」とつづり、両手に看板を持ち、笑顔で瓦礫の上に立つ男性の写真をXに投稿しました。

    写っているのは、石川県珠洲市にお店を構える酒蔵、櫻田酒造の社長・櫻田博克さん。左手には赤字で「初櫻」と書かれた立派な看板を、左手には「新櫻田酒造建設予定地!!」と書かれた段ボールの看板を持ち、どこか希望に満ちた笑顔を浮かべています。

    瓦礫の上に立ち、再建を決意する櫻田さん

    地震でネット接続が困難な被災者や能登の酒蔵に代わり、情報を発信していたというほしたろうさん。

    写真は2月15日に櫻田さんの奥さんが撮影したもので、Xアカウントを持っていない櫻田さんに代わり、ほしたろうさんがXに投稿したのだそうです。

    ちなみに櫻田さんが左手に持っている看板は、もともとお店の正面玄関の塀に打ち付けてあったもの。細かい傷や剥がれなどがあったものの、ほぼ無傷で瓦礫の中から出てきたといいます。

    画面左下に設置されていた看板が見えます

    BuzzFeedは写真の男性、櫻田さんにお話を聞きました

    ――ほしたろうさんから、当初は再建はせず廃業するつもりだったとお聞きしました。

    震災当初は、被害の大きさに再建は不可能だと思い廃業しようと思っていました。

    これほどの被害を受けて廃業しても、ご先祖様たちも納得してくれるだろうという思いと、妻が「今まで頑張ってきたんだから、これでもういいよ」って言ってくれて、廃業してもなんとか暮らしていけそうだなという思いもあり、親しい方々や友人には廃業する予定だと正直に伝えていました。

    ――そこからなぜ再建しようと思ったのでしょうか?

    最初は廃業すると腹をくくっていたのですが、眠れない夜を過ごしているうちに、なんとかならないのかという思いと、ここで辞めたら楽かもしれないですが、死ぬときに絶対後悔するなという思いでいたところ、SNSなどで沢山の励ましのメッセージや、沢山の友人知人、お取引先や同業者が励ましてくれました。「やっぱりやめられない、再建したい」と妻に言ったところ、しょうがないねってことになって再建することに決めました。

    しかしまだ迷いはあったのですが、諦めていた酒米が無事に出てきて米を見た瞬間、衝動的に車多酒造の社長に電話を入れ、委託醸造のお願いをしました。

    それからはもう迷いもなく再建することに決めました。

    お店で取り扱う多種多様な酒瓶

    ――「建設予定地」と書かれた段ボールを持っていましたが、この場所で続けることにした理由、思いなどをぜひお聞かせください。

    写真の場所は以前店舗が立っていた場所です。瓦礫は倒壊した瓦礫です。

    最初は能登ではなく別の、地震が来